好きって良いことだな
少し前までアイドルマスターにハマっていた。ハマって"いた"ということは今はハマっていないということになる。残念ながらそう、退職した。
アイドルは悪くないんよ。きっと悪いのは僕(プロデューサー)なんだ。アイドルマスターよ、永遠なれ。
急にアイドルマスターについて不安なことを語り始めたが、何故降りたのか───とか、そういう話はしない。アイドルマスターもあんまり関係ない。
今回は何の話がしたいのかというと、タイトル通り「好きって良いことだな」ということ。"良い"と書いて"いい"と読む。
好きは熱だ。熱は身体から溢れて周囲を温める───。アイドルマスターに熱中していた当時の僕、最初の頃は与えられたゲーム、楽曲、ライブを"楽"しむだけの人間だった。
だが、そのうちコンテンツに対して"喜怒哀"の感情が芽生えた。好きなキャラを引けたとき、ゲームでうまくスコアを出せない時、担当アイドルの中の人が結婚した時()、etc…
そうやって溢れた感情を形にしたくなった。最初はアイドルの姿を模写してみた。好きな楽曲を耳コピして打ち込んでみた。好きなセリフを書き出してみた。
そのうち頭の中にプロダクション(注:アイドルマスターのアイドルたちはプロダクションに所属しています。)が建った。好きなアイドルを好きな組み合わせで描いてみた。アイドルの楽曲を考えてみた。アイドルたちを物語の中で喋らせ、動かした。自分の中のアイドル論を語った。
そうして生み出された感情の形は今インターネットでいつでも見ることができる。pixiv然り、SoundCloud然り、Twitter然り、そしてはてなブログ然り。
そういったものを黒歴史として扱う人もいるのかもしれないが、僕は違う。たまに見返してしまう。たまにいいねがついていて嬉しい。
アイドルマスターへの熱を創作という具体的な形として残したことで、自分の思考や文字には表せない感情を記録することができた。これはすごく貴重なことなんじゃないかと思う。
最近1984年という小説を読んだ。ジョージ・オーウェルという人が書いたSFで、思考に対して激しい弾圧が行われている架空の国で暮らす男の話だ。その中で持ってはいけない思想を持ってしまった主人公が拷問官に「過去は具体的なものとして存在するかね?」と問われる。
過去は記録や思い出の中に存在するものだが、それらを全て書き換えたり、無くしてしまった時、過去はどうなるのか?という話だ。
物語に出てくる国では上記の処置を国を挙げて行っており、歴史を自由にコントロールしてしまっている。本当の過去なんてどこにもない。人々を客観視した時、その個人には今しか残っていない。
とても怖いことだと思った。過去に生きた証が無ければ、世界が今この瞬間作られたって同じじゃないかと。あの時の自分は偽の記憶で、今の自分も次の自分にとっては偽の自分で、要するに今を生きる理由なんてなくなってしまう。
幸い、現代にはそういったことはなく(少なくとも無いと思い込めている)、様々な媒体で自分の過去を確認することができる。過去があるから今があり、そして未来がある。小説を読んだあと少し不安になったからそれらを巡回して、こうして駄文を生み出している。多分自分以外は誰も見ないけど、この文章もまた未来の少し不安になった自分に向けて書いている。
あなたにはちゃんと過去があるよと。
タイトルに立ち返るが、そういった意味で過去としての形を創り出せるくらいの熱を生み出せる「好き」は良い(いい)ということだなと再認識した。アイドルマスターが好きだった時間は良い時間だったと思います。他の選択肢は無かったです。良いコンテンツでしたよ。今はあんまり知らないけれど。とか言ってちょっと前のライブはオンラインで観てる。(?)
それはともかく、はてなブログはいつまで残るんだろうか……。歴史は保存するものがあるから語れるんだ、頼むよ。